「科学を視覚化」動画の優秀作品10選
Wired Visions (2009年8月31日)
http://wiredvision.jp/news/200908/2009083123.html
→流体シミュレーションがほとんど。「二酸化炭素濃度の季節変化」「Ia型超新星の誕生」が面白かった。
「海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム」平成21年度公募 提案課題の審査経緯及び採択課題について
文部科学省(平成21年8月27日)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/08/1283673.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/1260968.htm
→一件あたり3年で数億~7000万円ぐらいと大きい。東大が6件。海洋研の徳山先生が「海底接地型音波探査の新型高解像音源の開発」。
2009年8月31日月曜日
科学ニュース(090824-090830)
Japan's Education Ministry Aims High With Budget Request
ScienceInsider, August 28, 2009
http://blogs.sciencemag.org/scienceinsider/2009/08/japans-educatio.html
→文部科学省が発表した来年度の概算要求について。「TAを活用した学生実験実習の充実支援事業」に100億円など、一般会計で7644億円増と、なかなか強気。この記事では「民主党も自民党も、科学政策に関しては違いはわずか」としているが、さてどうなる。
(参考)平成22年度文部科学省 概算要求主要事項の発表資料一覧
http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h22/1283693.htm
Nitrous Oxide Now Top Ozone-depleting Emission
ScienceDaily (Aug. 28, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090827141344.htm
→亜酸化窒素(N2O)が、現時点でオゾン層を最も破壊する物質らしい。モントリオール議定書の規制外。土壌や海洋における脱窒のほか、肥料の使用や化学物質の製造など人間活動でも排出される。Scicence Expressに論文。
博士課程学生に「給与」年180万円 文科省概算要求へ
朝日新聞, 2009年8月28日
http://www.asahi.com/national/update/0828/TKY200908280090.html
→いわゆる「学振」の他に、2000人ほどの枠を見込んでいるらしい。政権交代でどうなるか。
Flourishing After the End-Permian Mass Extinction
Charles R. Marshall and David K. Jacobs
Science 28 August 2009: 1079-1080
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/325/5944/1079
→P/T境界での大量絶滅後、水塊中で暮らしていたアンモナイトは、底生生物よりも早く絶滅から回復したらしい。Scienceに論文。
Antarctica's Orbital Beat
Peter Huybers
Science 28 August 2009: 1085-1086.
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/325/5944/1085
→「軌道要素変動による日射量変動は南北非対称なのに、氷期間氷期サイクルは全球で同調しているように見えるのはなぜか」という問題に対して、最近、南極氷床コアの水同位体は各季節を不均等に記録しているという可能性が提唱されている。EGUで発表?
New Temperature Reconstruction From Indo-Pacific Warm Pool
ScienceDaily (Aug. 28, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090827131832.htm
→インドネシアのマカッサル海峡(インド太平洋暖水塊に位置)の堆積物から、過去2000年間のSSTや海水d18Oの復元。Natureに論文。
Joining Forces to Pump Up a Variable Sun's Climate Effects
Science 28 August 2009: 1058-1059
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/325/5944/1058-b
Sunspots stir oceans
Nature news, Published online 27 August 2009
http://www.nature.com/news/2009/090827/full/news.2009.869.html
Small Fluctuations In Solar Activity, Large Influence On Climate
ScienceDaily (Aug. 28, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090827141349.htm
→太陽の11年周期が気候に与える影響は、紫外線の二つの効果をモデルに合わせて組み込むと、東太平洋に顕著に現れた。太陽極大期に東太平洋が冷えて、La Nina的になるらしい。Scienceに論文。
Kamikaze Planet
ScienceNOW Daily News, 26 August 2009
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/826/2
Secrets that only tides will tell
Douglas P. Hamilton
Nature News & Views 460:1086-1087 (27 August 2009)
http://www.nature.com/nature/journal/v460/n7259/full/4601086a.html
Extrasolar Hot Jupiter: The Planet That 'Shouldn’t Exist'
ScienceDaily (Aug. 27, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090827132901.htm
→恒星にラセン軌道で近付いている「自殺するカミカゼ惑星」WASP-18bの発見。50万年以内に恒星に到達して消滅する可能性あり。Natureに論文。
Global Warming Warps Marine Food Webs
ScienceNOW Daily News, 26 August 2009
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/826/3
→温暖化すると、海の植物プランクトンは減る一方で、動物プランクトンは増えるらしい。実験すると、両者の比率が最大10倍も変わった。魚など食物網上位階層にとってはうれしいかも? PloS Biologyに論文。
Fossil protection law comes under fire
Nature News, Published online 25 August 2009
http://www.nature.com/news/2009/090825/full/4601067b.html
→中国で、化石の違法輸出を取り締まる法律が検討中だが、非難も多いらしい。
太陽系の近くに、初期宇宙の生き残り
国立天文台 アストロ・トピックス, 2009年8月25日
http://www.astroarts.co.jp/news/2009/08/25old_star/index-j.shtml
→地球から約600光年の距離に、重元素が太陽の5000分の1しかない星が発見された。この星は、宇宙初期の星に関する元素合成の結果を記録している、いわば宇宙の化石らしい。Astrophysical Journalに論文。
洞爺湖有珠山など3地域世界ジオパークに認定
サイエンスポータル編集ニュース, 2009年8月24日
http://scienceportal.jp/news/daily/0908/0908241.html
世界ジオパーク認定の意義
サイエンスポータル編集ニュース, 2009年8月25日
http://scienceportal.jp/news/review/0908/0908251.html
→日本の地域が世界ジオパークに認定されたのはこれが初めて。
各党マニフェスト評価
科学政策ニュースクリップ, 2009-08-24
http://d.hatena.ne.jp/scicom/20090824/p1
→NPO法人サイエンス・コミュニケーションがまとめた、各政党のマニフェストに記された科学技術政策。
Upward Lightning No Flash in the Pan
ScienceNOW Daily News, 24 August 2009
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/824/1
→雷雲上端から上方へ走る巨大稲妻の観測に成功。Nature Geoscienceに論文。
Searching For An Interglacial On Greenland
ScienceDaily (Aug. 24, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090824115801.htm
→グリーンランドで13万年分の氷床コアを掘削するプロジェクト(NEEM: North Greenland Eemian Ice Drilling)が始まっており、第1シーズンが8/20に完了した。日米欧など14カ国の国際プロジェクト。2010年の夏にEemianまで到達できるかも?
ScienceInsider, August 28, 2009
http://blogs.sciencemag.org/scienceinsider/2009/08/japans-educatio.html
→文部科学省が発表した来年度の概算要求について。「TAを活用した学生実験実習の充実支援事業」に100億円など、一般会計で7644億円増と、なかなか強気。この記事では「民主党も自民党も、科学政策に関しては違いはわずか」としているが、さてどうなる。
(参考)平成22年度文部科学省 概算要求主要事項の発表資料一覧
http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h22/1283693.htm
Nitrous Oxide Now Top Ozone-depleting Emission
ScienceDaily (Aug. 28, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090827141344.htm
→亜酸化窒素(N2O)が、現時点でオゾン層を最も破壊する物質らしい。モントリオール議定書の規制外。土壌や海洋における脱窒のほか、肥料の使用や化学物質の製造など人間活動でも排出される。Scicence Expressに論文。
博士課程学生に「給与」年180万円 文科省概算要求へ
朝日新聞, 2009年8月28日
http://www.asahi.com/national/update/0828/TKY200908280090.html
→いわゆる「学振」の他に、2000人ほどの枠を見込んでいるらしい。政権交代でどうなるか。
Flourishing After the End-Permian Mass Extinction
Charles R. Marshall and David K. Jacobs
Science 28 August 2009: 1079-1080
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/325/5944/1079
→P/T境界での大量絶滅後、水塊中で暮らしていたアンモナイトは、底生生物よりも早く絶滅から回復したらしい。Scienceに論文。
Antarctica's Orbital Beat
Peter Huybers
Science 28 August 2009: 1085-1086.
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/325/5944/1085
→「軌道要素変動による日射量変動は南北非対称なのに、氷期間氷期サイクルは全球で同調しているように見えるのはなぜか」という問題に対して、最近、南極氷床コアの水同位体は各季節を不均等に記録しているという可能性が提唱されている。EGUで発表?
New Temperature Reconstruction From Indo-Pacific Warm Pool
ScienceDaily (Aug. 28, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090827131832.htm
→インドネシアのマカッサル海峡(インド太平洋暖水塊に位置)の堆積物から、過去2000年間のSSTや海水d18Oの復元。Natureに論文。
Joining Forces to Pump Up a Variable Sun's Climate Effects
Science 28 August 2009: 1058-1059
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/325/5944/1058-b
Sunspots stir oceans
Nature news, Published online 27 August 2009
http://www.nature.com/news/2009/090827/full/news.2009.869.html
Small Fluctuations In Solar Activity, Large Influence On Climate
ScienceDaily (Aug. 28, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090827141349.htm
→太陽の11年周期が気候に与える影響は、紫外線の二つの効果をモデルに合わせて組み込むと、東太平洋に顕著に現れた。太陽極大期に東太平洋が冷えて、La Nina的になるらしい。Scienceに論文。
Kamikaze Planet
ScienceNOW Daily News, 26 August 2009
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/826/2
Secrets that only tides will tell
Douglas P. Hamilton
Nature News & Views 460:1086-1087 (27 August 2009)
http://www.nature.com/nature/journal/v460/n7259/full/4601086a.html
Extrasolar Hot Jupiter: The Planet That 'Shouldn’t Exist'
ScienceDaily (Aug. 27, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090827132901.htm
→恒星にラセン軌道で近付いている「自殺するカミカゼ惑星」WASP-18bの発見。50万年以内に恒星に到達して消滅する可能性あり。Natureに論文。
Global Warming Warps Marine Food Webs
ScienceNOW Daily News, 26 August 2009
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/826/3
→温暖化すると、海の植物プランクトンは減る一方で、動物プランクトンは増えるらしい。実験すると、両者の比率が最大10倍も変わった。魚など食物網上位階層にとってはうれしいかも? PloS Biologyに論文。
Fossil protection law comes under fire
Nature News, Published online 25 August 2009
http://www.nature.com/news/2009/090825/full/4601067b.html
→中国で、化石の違法輸出を取り締まる法律が検討中だが、非難も多いらしい。
太陽系の近くに、初期宇宙の生き残り
国立天文台 アストロ・トピックス, 2009年8月25日
http://www.astroarts.co.jp/news/2009/08/25old_star/index-j.shtml
→地球から約600光年の距離に、重元素が太陽の5000分の1しかない星が発見された。この星は、宇宙初期の星に関する元素合成の結果を記録している、いわば宇宙の化石らしい。Astrophysical Journalに論文。
洞爺湖有珠山など3地域世界ジオパークに認定
サイエンスポータル編集ニュース, 2009年8月24日
http://scienceportal.jp/news/daily/0908/0908241.html
世界ジオパーク認定の意義
サイエンスポータル編集ニュース, 2009年8月25日
http://scienceportal.jp/news/review/0908/0908251.html
→日本の地域が世界ジオパークに認定されたのはこれが初めて。
各党マニフェスト評価
科学政策ニュースクリップ, 2009-08-24
http://d.hatena.ne.jp/scicom/20090824/p1
→NPO法人サイエンス・コミュニケーションがまとめた、各政党のマニフェストに記された科学技術政策。
Upward Lightning No Flash in the Pan
ScienceNOW Daily News, 24 August 2009
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/824/1
→雷雲上端から上方へ走る巨大稲妻の観測に成功。Nature Geoscienceに論文。
Searching For An Interglacial On Greenland
ScienceDaily (Aug. 24, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090824115801.htm
→グリーンランドで13万年分の氷床コアを掘削するプロジェクト(NEEM: North Greenland Eemian Ice Drilling)が始まっており、第1シーズンが8/20に完了した。日米欧など14カ国の国際プロジェクト。2010年の夏にEemianまで到達できるかも?
古い論文(090824-090830)
今週はHarvard大学のAnn Pearson准教授の論文をメインに。
Quantifying archaeal community autotrophy in the mesopelagic ocean using natural radiocarbonAnitra E. Ingalls, Sunita R. Shah, Roberta L. Hansman, Lihini I. Aluwihare, Guaciara M. Santos, Ellen R. M. Druffel, and Ann Pearson
Proceedings of the National Academy of Sciences (2006) 103:6442-6447; published online April 13, 2006, doi:10.1073/pnas.0510157103
→海洋中深層のアーキアが独立栄養か従属栄養なのかを、海水中のGDGTs(アーキア脂質)の化合物レベル14C濃度から調べた。83%が独立栄養、残りが従属栄養らしい。アンモニア酸化を通じて、アーキアが海洋の炭素・窒素循環に大きな役割を果たしているようだ。しかし、14C濃度だと、独立栄養と「他の微生物が独立栄養で固定した炭素を、従属栄養的に同化」を区別できないと思うが、どうなんだろう…?
【海洋生元素循環2】
The radiocarbon signature of microorganisms in the mesopelagic ocean
Roberta L. Hansman, Sheila Griffin, Jordan T. Watson, Ellen R. M. Druffel, Anitra E. Ingalls, Ann Pearson, and Lihini I. Aluwihare
Proceedings of the National Academy of Sciences (2009) 106:6513-6518; published online April 6, 2009, doi:10.1073/pnas.0810871106
→海洋中深層の微生物の炭素がどこから来ているのかを、DNA(バルク)の14C濃度から調べた。その場での科学合成独立栄養による炭素固定がかなり寄与しており、光合成由来有機物(POCとして表層から沈降)は必ずしも最大の炭素源ではないらしい。また、溶存有機炭素(DOC)はほとんど寄与していないらしい。しかし、DNAを「生きている細胞のバイオマーカー」として使っているが、RNAならともかくDNAはPOCなどに残らないのだろうか…? 堆積物中と海洋中だと違うのかもしれないが。
【海洋生元素循環2】
Phylogenetic and biochemical evidence for sterol synthesis in the bacterium Gemmata obscuriglobus
Ann Pearson, Meytal Budin, and Jochen J. Brocks
Proceedings of the National Academy of Sciences (2003) 100(26) 15352-15357, December 23, doi: 10.1073/pnas.2536559100
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第1弾。ステロールの生合成はほとんど真核生物にのみ見られ、バクテリアは2種が報告されているのみだが、生合成経路はいつ発達したのか? 生合成に最低限必要な酵素squalene monooxygenaseとoxidosqualene cyclaseの遺伝子を、公開されている全微生物のゲノム中から検索した。すると新たに、Gemmata obscuriglobusに見つかった。最も古いタイプの生合成系かも? 遺伝子水平伝播もあったようだ。
【トリテルペノイド1】
Targeted genomic detection of biosynthetic pathways: anaerobic production of hopanoid biomarkers by a common sedimentary microbeW. W. FISCHER, R. E. SUMMONS AND A. PEARSON
Geobiology (2005) 3(1), 33-40, Published Online: 5 Jul 2005, DOI:10.1111/j.1472-4669.2005.00041.x
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第2弾。ホパノイドの生合成には酸素(O2)は不要だが、なぜかこれまで絶対嫌気微生物からは見つかっていない。しかし嫌気的メタン酸化が起きている堆積物中に13Cに乏しいホパノイドが見つかるなど、嫌気環境での生合成が疑われている。そこで、上のPearson et al. (2003, PNAS)で始めた「ゲノム中にバイオマーカー生合成酵素を探索する研究」を、今回はホパノイドで行った。すると、嫌気環境によく見られる微生物3種(Geobacter sulfurreducens, Geobacter metallireducens, Magnetospirillum magnetotacticum)に見つかった。
【トリテルペノイド1】
Novel hopanoid cyclases from the environment
Ann Pearson, Sarah R. Flood Page, Tyler L. Jorgenson, Woodward W. Fischer and Meytal B. Higgins
Environmental Microbiology (2007) 9(9), 2175-2188, Published Online: 5 Jun 2007, DOI:10.1111/j.1462-2920.2007.01331.x
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第3弾。環境中のメタゲノムデータから、ホパノイド生合成酵素(hopanoid cyclases)の遺伝子(sqhC)を探索。環境中には、ホパノイドを生合成できる未発見の種が大量にいることが示唆された。一方で、シアノバクテリア(2-methylbacteriohopanepolyolの主たる生産者と考えられている)には見つからず。堆積岩中の過去のホパノイドを解釈する上で重要な知見。
【トリテルペノイド1】
Distribution of microbial terpenoid lipid cyclases in the global ocean metagenomeAnn Pearson and Douglas B Rusch
The ISME Journal (2009) 3, 352–363; doi:10.1038/ismej.2008.116; published online 27 November 2008
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第4弾。様々な海域のショットガンメタゲノムデータから、テルペノイド生合成酵素(squalene-hopene cyclases)の遺伝子(SHCs)を探索。主にプロテオバクテリアがコードしており、ホパノイド生産に大きく寄与しているらしい。やはりシアノバクテリアには見つからず。
【トリテルペノイド1】
Are Sunspots Different During This Solar Minimum?W. LIVINGSTON and M. PENN
Eos Trans. AGU (2009) 90(30), 28 July 2009, 257-258
→ゼーマン効果から見積もった太陽磁場が、1992年から現在にかけて3分の2ほどに弱化している。
【太陽と気候2】
Quantifying archaeal community autotrophy in the mesopelagic ocean using natural radiocarbonAnitra E. Ingalls, Sunita R. Shah, Roberta L. Hansman, Lihini I. Aluwihare, Guaciara M. Santos, Ellen R. M. Druffel, and Ann Pearson
Proceedings of the National Academy of Sciences (2006) 103:6442-6447; published online April 13, 2006, doi:10.1073/pnas.0510157103
→海洋中深層のアーキアが独立栄養か従属栄養なのかを、海水中のGDGTs(アーキア脂質)の化合物レベル14C濃度から調べた。83%が独立栄養、残りが従属栄養らしい。アンモニア酸化を通じて、アーキアが海洋の炭素・窒素循環に大きな役割を果たしているようだ。しかし、14C濃度だと、独立栄養と「他の微生物が独立栄養で固定した炭素を、従属栄養的に同化」を区別できないと思うが、どうなんだろう…?
【海洋生元素循環2】
The radiocarbon signature of microorganisms in the mesopelagic ocean
Roberta L. Hansman, Sheila Griffin, Jordan T. Watson, Ellen R. M. Druffel, Anitra E. Ingalls, Ann Pearson, and Lihini I. Aluwihare
Proceedings of the National Academy of Sciences (2009) 106:6513-6518; published online April 6, 2009, doi:10.1073/pnas.0810871106
→海洋中深層の微生物の炭素がどこから来ているのかを、DNA(バルク)の14C濃度から調べた。その場での科学合成独立栄養による炭素固定がかなり寄与しており、光合成由来有機物(POCとして表層から沈降)は必ずしも最大の炭素源ではないらしい。また、溶存有機炭素(DOC)はほとんど寄与していないらしい。しかし、DNAを「生きている細胞のバイオマーカー」として使っているが、RNAならともかくDNAはPOCなどに残らないのだろうか…? 堆積物中と海洋中だと違うのかもしれないが。
【海洋生元素循環2】
Phylogenetic and biochemical evidence for sterol synthesis in the bacterium Gemmata obscuriglobus
Ann Pearson, Meytal Budin, and Jochen J. Brocks
Proceedings of the National Academy of Sciences (2003) 100(26) 15352-15357, December 23, doi: 10.1073/pnas.2536559100
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第1弾。ステロールの生合成はほとんど真核生物にのみ見られ、バクテリアは2種が報告されているのみだが、生合成経路はいつ発達したのか? 生合成に最低限必要な酵素squalene monooxygenaseとoxidosqualene cyclaseの遺伝子を、公開されている全微生物のゲノム中から検索した。すると新たに、Gemmata obscuriglobusに見つかった。最も古いタイプの生合成系かも? 遺伝子水平伝播もあったようだ。
【トリテルペノイド1】
Targeted genomic detection of biosynthetic pathways: anaerobic production of hopanoid biomarkers by a common sedimentary microbeW. W. FISCHER, R. E. SUMMONS AND A. PEARSON
Geobiology (2005) 3(1), 33-40, Published Online: 5 Jul 2005, DOI:10.1111/j.1472-4669.2005.00041.x
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第2弾。ホパノイドの生合成には酸素(O2)は不要だが、なぜかこれまで絶対嫌気微生物からは見つかっていない。しかし嫌気的メタン酸化が起きている堆積物中に13Cに乏しいホパノイドが見つかるなど、嫌気環境での生合成が疑われている。そこで、上のPearson et al. (2003, PNAS)で始めた「ゲノム中にバイオマーカー生合成酵素を探索する研究」を、今回はホパノイドで行った。すると、嫌気環境によく見られる微生物3種(Geobacter sulfurreducens, Geobacter metallireducens, Magnetospirillum magnetotacticum)に見つかった。
【トリテルペノイド1】
Novel hopanoid cyclases from the environment
Ann Pearson, Sarah R. Flood Page, Tyler L. Jorgenson, Woodward W. Fischer and Meytal B. Higgins
Environmental Microbiology (2007) 9(9), 2175-2188, Published Online: 5 Jun 2007, DOI:10.1111/j.1462-2920.2007.01331.x
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第3弾。環境中のメタゲノムデータから、ホパノイド生合成酵素(hopanoid cyclases)の遺伝子(sqhC)を探索。環境中には、ホパノイドを生合成できる未発見の種が大量にいることが示唆された。一方で、シアノバクテリア(2-methylbacteriohopanepolyolの主たる生産者と考えられている)には見つからず。堆積岩中の過去のホパノイドを解釈する上で重要な知見。
【トリテルペノイド1】
Distribution of microbial terpenoid lipid cyclases in the global ocean metagenomeAnn Pearson and Douglas B Rusch
The ISME Journal (2009) 3, 352–363; doi:10.1038/ismej.2008.116; published online 27 November 2008
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第4弾。様々な海域のショットガンメタゲノムデータから、テルペノイド生合成酵素(squalene-hopene cyclases)の遺伝子(SHCs)を探索。主にプロテオバクテリアがコードしており、ホパノイド生産に大きく寄与しているらしい。やはりシアノバクテリアには見つからず。
【トリテルペノイド1】
Are Sunspots Different During This Solar Minimum?W. LIVINGSTON and M. PENN
Eos Trans. AGU (2009) 90(30), 28 July 2009, 257-258
→ゼーマン効果から見積もった太陽磁場が、1992年から現在にかけて3分の2ほどに弱化している。
【太陽と気候2】
新しい論文(090824-090830)
☆Nature☆
An orbital period of 0.94 days for the hot-Jupiter planet WASP-18b
Coel Hellier, D. R. Anderson, A. Collier Cameron, M. Gillon, L. Hebb, P. F. L. Maxted, D. Queloz, B. Smalley, A. H. M. J. Triaud, R. G. West, D. M. Wilson, S. J. Bentley, B. Enoch, K. Horne, J. Irwin, T. A. Lister, M. Mayor, N. Parley, F. Pepe, D. L. Pollacco, D. Segransan, S. Udry & P. J. Wheatley
Nature 460, 1098-1100 (27 August 2009) doi:10.1038/nature08245
→質量が木星の約10倍、公転周期が0.94日という系外惑星WASP-18bは、強大な潮汐力のため、徐々に恒星に近づいており、50万年以内に恒星表面に到達して消滅する可能性がある。「Kamikaze Planet」なる見出しのニュースも。News & Viewsに解説あり。
【最新論文(Nature, Science)】
2,000-year-long temperature and hydrology reconstructions from the Indo-Pacific warm pool
Delia W. Oppo, Yair Rosenthal & Braddock K. Linsley
Nature 460, 1113-1116 (27 August 2009) doi:10.1038/nature08233
→インドネシアのマカッサル海峡の堆積物から、過去2000年間のSSTや海水d18Oの復元。過去2千年間の赤道域の気候復元は、これまで非常に少なかった。基本的に従来の「北半球平均気温」などと似たパターンを示すが、中世温暖期のSSTは現在と同じぐらいだったらしい。
【最新論文(Nature, Science)】
☆Science☆
Amplifying the Pacific Climate System Response to a Small 11-Year Solar Cycle Forcing
Gerald A. Meehl, Julie M. Arblaster, Katja Matthes, Fabrizio Sassi, and Harry van Loon
Science 325, 1114-1118 (28 August 2009) DOI: 10.1126/science.1172872
→太陽の11年周期が気候に与える影響は、紫外線の二つの効果をモデルに合わせて組み込むと、東太平洋に顕著に現れた。太陽極大期に東太平洋が冷えて、La Nina的になるらしい。
【太陽と気候2】
Good Genes and Good Luck: Ammonoid Diversity and the End-Permian Mass Extinction
Arnaud Brayard, Gilles Escarguel, Hugo Bucher, Claude Monnet, Thomas Brühwiler, Nicolas Goudemand, Thomas Galfetti, and Jean Guex
Science 325, 1118-1121 (28 August 2009) DOI: 10.1126/science.1174638
→P/T境界での大量絶滅後、水塊中で暮らしていたアンモナイトは、底生生物よりも早く絶滅から回復したらしい。Perspectivesに解説あり。
【最新論文(Nature, Science)】
☆Geophysical Research Letters☆
Visibility network of United States hurricanes
Elsner, J. B., T. H. Jagger, and E. A. Fogarty
Geophys. Res. Lett. (2009) 36, L16702, doi:10.1029/2009GL039129.
→ネットワーク理論を用いて、米国の台風記録から「特異に台風が多い年」を抽出。ちょうど、9月の太陽黒点が少ない年にあたるらしい。
【太陽と気候2】
Cold-trapped organic compounds at the poles of the Moon and Mercury: Implications for origins
Zhang, J. A., and D. A. Paige
Geophys. Res. Lett. (2009) 36, L16203, doi:10.1029/2009GL038614.
→月と水星の極の永久影に、有機物が凍って補足されている可能性をモデルで調べた。
【最新論文(地球科学系)】
☆Earth and Planetary Science Letters☆
Feedback between deglaciation, volcanism, and atmospheric CO2
Peter Huybers, Charles Langmuir
Earth and Planetary Science Letters, In Press, Corrected Proof, Available online 28 August 2009, doi:10.1016/j.epsl.2009.07.014
→最終退氷期に、陸上での火山噴火が全球的に2-6倍に増えたことが示されており、「退氷→マントルへの圧力低下→マグマ生成増加→火山噴火増加→大気中CO2増加→退氷進行」というポジティブフィードバックを提唱。退氷期後半にはCO2が40ppm分放出されたらしい。
【気候と生元素循環1】
☆Geochimica et Cosmochimica Acta☆
Iron Partitioning and Hydrogen Generation During Serpentinization of Abyssal Peridotites from 15°N on the Mid-Atlantic Ridge
Frieder Klein, Wolfgang Bach, Niels Jöns, Tom McCollom, Bruce Moskowitz, Thelma Berquó
Geochimica et Cosmochimica Acta (2009), In Press, Accepted Manuscript, doi: 10.1016/j.gca.2009.08.021
→カンラン岩の蛇紋岩化による水素ガス生成のプロセスを探るべく、ODP Leg 209掘削コア@大西洋中央海嶺15°Nの岩石の鉄の状態を詳細に調べた。
【最新論文(地球科学系)】
Organic matter heterogeneities in 2.72 Ga stromatolites: alteration versus preservation by sulfur incorporation
Kevin Lepot, Karim Benzerara, Nicolas Rividi, Marine Cotte, Gordon E. Brown, Pascal Philippot
Geochimica et Cosmochimica Acta, In Press, Accepted Manuscript, Available online 25 August 2009, doi: 10.1016/j.gca.2009.08.014
→27.2億年前のストロマトライト中の有機物をFTIR、SEM、STXM、TEMで微小領域分析。2種類の有機物が存在し、Type-Aは細胞外有機物か再凝集ケロジェンで、Type-Bは微生物細胞が鉱物中に保存されたものらしい。
【先カンブリア紀2】
Equilibrium 2H/1H fractionations in organic molecules. I. Experimental calibration of ab initio calculations
Ying Wang, Alex L. Sessions, Robert J. Nielsen, William A. Goddard
Geochimica et Cosmochimica Acta, In Press, Accepted Manuscript, Available online 23 August 2009, doi: 10.1016/j.gca.2009.08.019
→有機物の炭素に結合した水素が、周囲の水素と交換する際の平衡同位体分別係数を、実験と第一原理計算で求めた。温度の関数として、線形のキャリブレーションの式を作った。
【最新論文(地球科学系)】
Equilibrium 2H/1H fractionations in organic molecules. II. Linear alkanes, alkenes, ketones, carboxylic acids, esters, alcohols and ethers
Ying Wang, Alex L. Sessions, Robert J. Nielsen, William A. Goddard
Geochimica et Cosmochimica Acta, In Press, Accepted Manuscript, Available online 23 August 2009, doi: 10.1016/j.gca.2009.08.018
→上の論文の続き。アルカン、アルケン、ケトン、カルボン酸、エステル、アルコール、エーテルについてそれぞれ、水素の平衡同位体分別係数を求めた。各炭化水素分子のdDの上昇や、n-アルキル脂質とイソプレノイドのdDの差が無くなることは、水素の同位体平衡で説明可能らしい。また、多くのn-アルキル脂質のdD値は水との同位体平衡と近い値で生合成されるので、堆積後の水との同位体平衡の有無の判別は難しい。
【最新論文(地球科学系)】
☆Organic Geochemistry☆
Impact of temperature on long chain diol and mid-chain hydroxy methyl alkanoate composition in Proboscia diatoms: Results from culture and field studies
Sebastiaan W. Rampen, Stefan Schouten, Enno Schefuß, Jaap S. Sinninghe Damsté
Organic Geochemistry (2009), In Press, Accepted Manuscript, Available online 26 August 2009, doi: 10.1016/j.orggeochem.2009.08.005
→Proboscia珪藻のバイオマーカーである、長鎖1,14-diolsと12-hydroxy methyl alkanoatesの比が古水温計になるかどうか検証。培養ではきれいな相関だが、各地の表層堆積物からのデータではイマイチ? 2008年のAGUで発表していたのを聞いた記憶がある。
【最新論文(地球科学系)】
☆Rapid Communications in Mass Spectrometry☆
Online high-precision d2H and d18O analysis in water by pyrolysis
Feng H. Lu
Rapid Communications in Mass Spectrometry, Published Online: 27 Aug 2009, DOI:10.1002/rcm.4232
→高温熱分解で水の酸素・水素同位体比を測定する手法の中で、同位体比に影響する様々な要因を変えて実験。1300℃以上の高温、小容量シリンジからの小容量注入(1.2ulから100nl注入とか)が良い。30nlの水を水素で0.5‰、酸素で0.1‰の誤差で測定できるので、鉱物包有物中の水などに応用可能らしい。
【最新論文(化学系)】
Belowground fate of 15N injected into sweetgum trees (Liquidambar styraciflua) at the ORNL FACE Experiment
Charles T. Garten Jr, Deanne J. Brice
Rapid Communications in Mass Spectrometry, Published Online: 24 Aug 2009, DOI:10.1002/rcm.4227
→木に15Nラベルした硫酸アンモニウムを注入して、土壌の構成要素(根、死骸、POM)にどのように15Nが広がっていくかを実験。回転時間がそれぞれ異なるらしい。
【最新論文(地球科学系)】
☆Applied and Environmental Microbiology☆
Sulfur Isotope Enrichment during Maintenance Metabolism in the Thermophilic Sulfate-Reducing Bacterium Desulfotomaculum putei
Mark M. Davidson, M. E. Bisher, Lisa M. Pratt, Jon Fong, Gordon Southam, Susan M. Pfiffner, Z. Reches, and Tullis C. Onstott
Appl. Environ. Microbiol. 2009;75 5621-5630, doi:10.1128/AEM.02948-08
→堆積物中の硫化水素イオンと硫酸イオンの硫黄同位体比の差は-55~-75‰にも及ぶ理由として、「硫化物に富む環境での非常に遅い硫酸還元」が提唱されているが、培養実験したところ、-20.9‰とかでまだ届かない。謎は深まるばかり…?
【最新論文(生物系)】
Extracellular Iron Biomineralization by Photoautotrophic Iron-Oxidizing Bacteria
Jennyfer Miot, Karim Benzerara, Martin Obst, Andreas Kappler, Florian Hegler, Sebastian Schadler, Camille Bouchez, Francois Guyot, and Guillaume Morin
Appl. Environ. Microbiol. 2009;75 5586-5591, doi:10.1128/AEM.00490-09
→鉄酸化光合成バクテリアが生成する、細胞外における水酸化鉄鉱物の観察。有機物のポリマーが鉱物沈着に重要で、酸化還元の勾配が生じているらしい。
【最新論文(生物系)】
☆The ISME Journal☆
The sea-surface microlayer is a gelatinous biofilm
Michael Cunliffe and J Colin Murrell
ISME J 3: 1001-1003; advance online publication, June 25, 2009; doi:10.1038/ismej.2009.69
→海洋表層のマイクロレイヤーは、微生物が濃集してバイオフィルムみたくなっていて重要ですよ、というCOMMENTARY。
【最新論文(生物系)】
2009年8月25日火曜日
古い論文(090817-090823)
1週間で見つけた、古い論文の覚書を記録していきます。
Deep bacterial biosphere in Pacific Ocean sediments
R. J. Parkes, B. A. Cragg, S. J. Bale, J. M. Getlifff, K. Goodman, P. A. Rochelle, J. C. Fry, A. J. Weightman & S. M. Harvey
Nature 371, 410-413 (29 September 1994); doi:10.1038/371410a0
→太平洋堆積物のODP掘削コアから得られた、地下深部生物圏の初めての直接証拠。深度500mを越えても、1cm3あたり100万匹以上の微生物が見られた。ただし、核酸を染めた粒子の個数を直接計測しているので、生きている細胞と死んだ細胞の区別は難しい。
【地下生物圏1】
The deep, hot biosphere
T Gold
Proceedings of the National Academy of Sciences, 1992, 89:6045-6049
→定常宇宙論などで著名な天文学者Thomas Goldによる、地下深部生物圏の提唱。石油無機生成説から、地下生物圏のアイディアに至ったらしい。「地下生物圏のバイオマスが炭素重量換算で200兆トンに達し、陸上と海中の生物の総量1兆トンをはるかに凌ぐ」という推算は、当時は相当インパクトを与えた。ただし現在では、200兆トンという数字を信じる人は少なく、地球表層と同程度のバイオマス(~1兆トン)というのが有力。
【地下生物圏1】
Deep bacterial biosphere in Pacific Ocean sediments
R. J. Parkes, B. A. Cragg, S. J. Bale, J. M. Getlifff, K. Goodman, P. A. Rochelle, J. C. Fry, A. J. Weightman & S. M. Harvey
Nature 371, 410-413 (29 September 1994); doi:10.1038/371410a0
→太平洋堆積物のODP掘削コアから得られた、地下深部生物圏の初めての直接証拠。深度500mを越えても、1cm3あたり100万匹以上の微生物が見られた。ただし、核酸を染めた粒子の個数を直接計測しているので、生きている細胞と死んだ細胞の区別は難しい。
【地下生物圏1】
The deep, hot biosphere
T Gold
Proceedings of the National Academy of Sciences, 1992, 89:6045-6049
→定常宇宙論などで著名な天文学者Thomas Goldによる、地下深部生物圏の提唱。石油無機生成説から、地下生物圏のアイディアに至ったらしい。「地下生物圏のバイオマスが炭素重量換算で200兆トンに達し、陸上と海中の生物の総量1兆トンをはるかに凌ぐ」という推算は、当時は相当インパクトを与えた。ただし現在では、200兆トンという数字を信じる人は少なく、地球表層と同程度のバイオマス(~1兆トン)というのが有力。
【地下生物圏1】
新しい論文(090817-090823 )
1週間で見つけた、気になる新着論文の覚書を記録していきます。
☆Nature☆
Evidence for an early prokaryotic endosymbiosis
James A. Lake
Nature 460, 967-971, 20 August 2009, doi:10.1038/nature08183
→グラム陰性バクテリアは、アクチノバクテリアとクロストリディウムの細胞共生によって生じたという仮説の提唱。原核生物を3000種類以上集め、タンパク質の遺伝情報を分析して推察した。この進化の結果、シアノバクテリアが生まれて大気酸素上昇につながったとしている。
【先カンブリア紀2】
Satellite-based estimates of groundwater depletion in India
Matthew Rodell, Isabella Velicogna & James S. Famiglietti
Nature 460, 999-1002, 20 August 2009, doi:10.1038/nature08238
→衛星観測から、インドの地下水資源が急激に減少している(6年間で109km3とか)ことが分かった。人間による地下水使用の増加が原因らしい。
【最新論文(Nature, Science)】
Global electromagnetic induction constraints on transition-zone water content variations
Anna Kelbert, Adam Schultz & Gary Egbert
Nature 460, 1003-1006, 20 August 2009, doi:10.1038/nature08257
→地球マントルの電気伝導度の3次元マッピングから、マントル遷移帯における水存在量を見積もり。
【最新論文(Nature, Science)】
☆Science☆
Deep-Sea, Swimming Worms with Luminescent "Bombs"
Karen J. Osborn, Steven H. D. Haddock, Fredrik Pleijel, Laurence P. Madin, and Greg W. Rouse
Science 325, 5943, 964, 21 August 2009, DOI: 10.1126/science.1172488
→1800mの深海から、小さな風船のような物体を発する、新種の環形動物が複数発見された。風船状のその物体は深海生物から発せられると同時に、鮮やかな緑色に輝き出すらしい。素敵だ。。。
【最新論文(Nature, Science)】
Homogeneous Distribution of 26Al in the Solar System from the Mg Isotopic Composition of Chondrules
Johan Villeneuve, Marc Chaussidon, and Guy Libourel
Science 325, 5943, 985-988, 21 August 2009, DOI: 10.1126/science.1173907
→コンドルール中のMgの同位体組成から判明した、太陽系における26Alの一様な分布。コンドルール鉱石の高精度同位体分析によって、初期太陽系の精密年代測定用に26Alの使用が可能になった。
【最新論文(Nature, Science)】
Bacteriophages Encode Factors Required for Protection in a Symbiotic Mutualism
Kerry M. Oliver, Patrick H. Degnan, Martha S. Hunter, and Nancy A. Moran
Science 325, 5943, 992-994, 21 August 2009, DOI: 10.1126/science.1174463
→バクテリオファージ(ウイルス)は、相利共生において防御に必要な因子をコードしている。アブラムシに共生する細菌は、寄生蜂を殺す毒性因子をウイルスから付与される。化学合成共生系では、ウイルスは何か役割を果たしているのだろうか?
【最新論文(Nature, Science)】
☆Proceedings of the National Academy of Sciences☆
Osmotrophy in modular Ediacara organisms
Marc Laflamme, Shuhai Xiao, and Michal Kowalewski
PNAS 2009 106:14438-14443; doi:10.1073/pnas.0904836106
→エディアカラ生物群は、溶存有機物の取り込みで栄養を得ていた(osmotrophy)らしい。化石の形状の詳細な解析・理論計算から推察された。エディアカラ紀の海は溶存有機物に富んでいた? ちなみに現在の動物は、サンゴや海綿が補助的に溶存有機物吸収を行うのみ。
【先カンブリア紀2】
Ultrafast growth of wadsleyite in shock-produced melts and its implications for early solar system impact processes
Oliver Tschauner, Paul D. Asimow, Natalya Kostandova, Thomas J. Ahrens, Chi Ma, Stanislas Sinogeikin, Zhenxian Liu, Sirine Fakra, and Nobumichi Tamura
PNAS 2009 106:13691-13695; doi:10.1073/pnas.0905751106
→隕石衝突実験で、高圧相のwadsleyiteが1マイクロ秒未満で形成された。この鉱物は従来、初期地球形成時期に半径1-5kmの隕石が衝突してできたとされてきたが、半径1-5mの隕石で作れるらしい。隕石中衝撃変成鉱物の解釈は、再検討が必要らしい。解釈が1000倍も変わるってすごいな。。。
【最新論文(地球科学系)】
Geological sulfur isotopes indicate elevated OCS in the Archean atmosphere, solving faint young sun paradox
Yuichiro Ueno, Matthew S. Johnson, Sebastian O. Danielache, Carsten Eskebjerg, Antra Pandey, and Naohiro Yoshida
PNAS published online before print August 17, 2009, doi:10.1073/pnas.0903518106
→硫黄MIFの地質記録を、実験で決めたSO2の光解離同位体分別と比較すると、OCSがppmオーダーで含まれる還元的大気が太古代に存在したことが示された。OCSの温室効果で「暗い太陽のパラドックス」も解決できるらしい。さすがは世界の上野雄一朗さん。
【先カンブリア紀2】
☆Geophysical Research Letters☆
Taking the pulse of the Sun during the Holocene by joint analysis of 14C and 10Be
Knudsen, M. F., P. Riisager, B. H. Jacobsen, R. Muscheler, I. Snowball, and M.-S. Seidenkrantz
Geophys. Res. Lett., 36, L16701, doi:10.1029/2009GL039439.
→過去11700年間の太陽活動変動を、地磁気モデル・14Cデータ(IntCal04)・10Beデータ(GRIPアイスコア)を組み合わせて復元。6000-4500yr BCと3000-2000 yr BCに、特に太陽周期が卓越。~220年、~400年の周期は、気候にも見られるらしい。
【太陽と気候2】
☆Earth and Planetary Science Letters☆
Geologic history of Mars
Carr, M.H., Head, J.W.
Earth and Planetary Science Letters, Available online 21 August 2009, doi:10.1016/j.epsl.2009.06.042
→火星の地質史のレビュー。
【最新論文(地球科学系)】
Iron-oxidizing microbial ecosystems thrived in late Paleoproterozoic redox-stratified oceans
Noah Planavsky, Olivier Rouxel, Andrey Bekker, Russell Shapiro, Phil Fralick and Andrew Knudsen
Earth and Planetary Science Letters, Available online 5 August 2009.
→1.89Gaのストロマトライトの鉄同位体組成や希土類元素組成から、鉄酸化細菌がこの時代の一次生産者として重要だったことが示された。
【先カンブリア紀2】
☆Geochimica et Cosmochimica Acta☆
Fractionation of oxygen and hydrogen isotopes in evaporating water
Boaz Luz, Eugeni Barkan, Ruth Yam, Aldo Shemesh
Geochimica et Cosmochimica Acta, Article in Press, Accepted Manuscript, doi: 10.1016/j.gca.2009.08.008
→水の蒸発に伴う動的同位体効果を、実験で定量。「単純なガス拡散の動的理論による予測とは異なる」という説を支持。また、水素の動的同位体効果は低温ほど大きいことが分かり、氷床コアのD-excessに大きな影響を与えるらしい(気温効果による振幅が氷期間氷期サイクルの振幅と同じくらい)。
【最新論文(地球科学系)】
Enzymatic microbial Mn(II) oxidation and Mn biooxide production in the Guaymas Basin deep-sea hydrothermal plume
Gregory J. Dick, Brian G. Clement, Samuel M. Webb, F. Joel Fodrie, John R. Bargar and Bradley M. Tebo
Geochimica et Cosmochimica Acta, Article in Press, Accepted Manuscript, doi:10.1016/j.gca.2009.07.039.
→Guaymas Basin熱水プリュームでのマンガンの状態(酸化還元状態や鉱物結晶構造)を調べて、微生物による急速なマンガン酸化が起きていることが分かった。
【最新論文(地球科学系)】
Why the atmosphere became oxygenated: A proposal
Heinrich D. Holland
Geochimica et Cosmochimica Acta, 73(18), 5241-5255
→大気が地球史を通じて酸化されてきた大部分は、光合成の効果よりも、火山ガスのCO2/H2O比とSO2/H2O比が時代とともに増大したことが原因というモデルの提唱。
【先カンブリア紀2】
☆Chemical Geology☆
Climatic significance of tree-ring δ18O in the Qilian Mountains, northwestern China and its relationship to atmospheric circulation patterns
Xiaohong Liu, Xuemei Shao, Eryuan Liang, Tuo Chen, Dahe Qin, Wenling An, Guobao Xu, Weizhen Sun and Yu Wang
Chemical Geology, Article in Press, Accepted Manuscript, Available online 19 August 2009, doi:10.1016/j.chemgeo.2009.08.005
→北西中国のQilian山脈の樹木年輪d18Oを、AD1870-2006分析し、気候データと比較。気温と正の相関。気候のレジームシフトでd18O大きく変化?
【樹木年輪同位体】
☆Organic Geochemistry☆
The occurrence of short chain n-alkanes with an even over odd predominance in higher plants and soils
Thomas K. Kuhn, Evelyn S. Krull, Amy Bowater, Kliti Grice, Gerd Gleixner
Organic Geochemistry, Article in Press, Accepted Manuscript, Available online 15 August 2009, doi:10.1016/j.orggeochem.2009.08.003
→土壌中に含まれる、奇数優位の短鎖n-アルカンは、主に高等植物から由来し、山火事で長鎖から生じたものが少し含まれるらしい。中部オーストラリアでの研究。
【最新論文(地球科学系)】
Fate of microbial biomass-derived amino acids in soil and their contribution to soil organic matter
Anja Miltner, Reimo Kindler, Heike Knicker, Hans-Hermann Richnow, Matthias KästnerOrganic Geochemistry, 40, 9, 978-985 (September 2009)
→土壌中に含まれる、微生物由来アミノ酸の行方を、224日間の13Cラベル実験で調べた。
【陸域生元素循環1】
☆Analytical Chemistry☆
Exploring Amino Acid Side Chain Decomposition Using Enzymatic Digestion and HPLC-MS: Combined Lysine Transformations in Chlorinated Waters
Spencer S. Walse, Michael J. Plewa and William A. MitchAnal. Chem., Article ASAP, DOI: 10.1021/ac901064u, Publication Date (Web): August 19, 2009
【最新論文(化学系)】
☆Biogeosciences☆
Historical records of coastal eutrophication-induced hypoxia
Gooday, A. J., Jorissen, F., Levin, L. A., Middelburg, J. J., Naqvi, S. W. A., Rabalais, N. N., Scranton, M., and Zhang, J.Biogeosciences, 6, 1707-1745, 2009.
→富栄養化による沿岸海域における貧酸素水塊の発生の変遷を、堆積物から読み解く研究のレビュー。貧酸素に特異的なプロキシ(MoやReなどの微量元素、イソレニエラテンなどのバイオマーカー)を、複数組み合わせて復元するのが良いらしい。
【気候と生元素循環1】
Growth phase dependent hydrogen isotopic fractionation in alkenone-producing haptophytes
M. D. Wolhowe, F. G. Prahl, I. Probert and M. Maldonado
Biogeosciences, 6, 1681-1694, 2009
→アルケノンの水素同位体組成が塩分のプロキシになるという話があるが、培養実験をすると、むしろアルケノン古水温計の補正に使えそうらしい。
【最新論文(地球科学系)】
☆Geobiology☆
Constraining carbon sources and growth rates of freshwater microbialites in Pavilion Lake using 14C analysis
A. L. BRADY, G. SLATER, B. LAVAL AND D. S. LIM
Geobiology , Published Online: 21 Aug 2009, DOI: 10.1111/j.1472-4669.2009.00215.x
→湖のマイクロバイアライトの放射性炭素、安定炭素同位体の分析から、元となるDICがどこから来たかを推察。地下水由来が9-13%らしい。成長速度は、過去千年間においては年0.05mmとか。
【最新論文(地球科学系)】
☆Trends in Ecology and Evolution☆
Ecological theory and continental margins: where shallow meets deep
Lisa A. Levin and Paul K. Dayton
Trends in Ecology and Evolution, doi:10.1016/j.tree.2009.04.012, Article in Press, Corrected Proof.
→大陸棚生態系のレビュー。
【最新論文(生物系)】
☆Environmental Microbiology☆
Culturable prokaryotic diversity of deep, gas hydrate sediments: first use of a continuous high-pressure, anaerobic, enrichment and isolation system for subseafloor sediments (DeepIsoBUG)
R. John Parkes, Gerard Sellek, Gordon Webster, Derek Martin, Erik Anders, Andrew J. Weightman and Henrik Sass
Environmental Microbiology, Published Online: 19 Aug 2009.
→高圧・嫌気条件を保ったまま海底下から堆積物サンプルを採取して、微生物を培養分離するシステム「DeepIsoBUG」の開発と、カスカディアでの応用。
【地下生物圏1】
Oxygen and the light–dark cycle of nitrogenase activity in two unicellular cyanobacteria
Justine Compaoré and Lucas J. Stal
Environmental Microbiology, Published Online: 19 Aug 2009, 10.1111/j.1462-2920.2009.02034.x
→単細胞シアノバクテリアのニトロゲナーゼ(窒素固定の酵素)活性が、酸素濃度や光、温度の変動にどう応答するか実験。
【最新論文(生物系)】
☆Nature☆
Evidence for an early prokaryotic endosymbiosis
James A. Lake
Nature 460, 967-971, 20 August 2009, doi:10.1038/nature08183
→グラム陰性バクテリアは、アクチノバクテリアとクロストリディウムの細胞共生によって生じたという仮説の提唱。原核生物を3000種類以上集め、タンパク質の遺伝情報を分析して推察した。この進化の結果、シアノバクテリアが生まれて大気酸素上昇につながったとしている。
【先カンブリア紀2】
Satellite-based estimates of groundwater depletion in India
Matthew Rodell, Isabella Velicogna & James S. Famiglietti
Nature 460, 999-1002, 20 August 2009, doi:10.1038/nature08238
→衛星観測から、インドの地下水資源が急激に減少している(6年間で109km3とか)ことが分かった。人間による地下水使用の増加が原因らしい。
【最新論文(Nature, Science)】
Global electromagnetic induction constraints on transition-zone water content variations
Anna Kelbert, Adam Schultz & Gary Egbert
Nature 460, 1003-1006, 20 August 2009, doi:10.1038/nature08257
→地球マントルの電気伝導度の3次元マッピングから、マントル遷移帯における水存在量を見積もり。
【最新論文(Nature, Science)】
☆Science☆
Deep-Sea, Swimming Worms with Luminescent "Bombs"
Karen J. Osborn, Steven H. D. Haddock, Fredrik Pleijel, Laurence P. Madin, and Greg W. Rouse
Science 325, 5943, 964, 21 August 2009, DOI: 10.1126/science.1172488
→1800mの深海から、小さな風船のような物体を発する、新種の環形動物が複数発見された。風船状のその物体は深海生物から発せられると同時に、鮮やかな緑色に輝き出すらしい。素敵だ。。。
【最新論文(Nature, Science)】
Homogeneous Distribution of 26Al in the Solar System from the Mg Isotopic Composition of Chondrules
Johan Villeneuve, Marc Chaussidon, and Guy Libourel
Science 325, 5943, 985-988, 21 August 2009, DOI: 10.1126/science.1173907
→コンドルール中のMgの同位体組成から判明した、太陽系における26Alの一様な分布。コンドルール鉱石の高精度同位体分析によって、初期太陽系の精密年代測定用に26Alの使用が可能になった。
【最新論文(Nature, Science)】
Bacteriophages Encode Factors Required for Protection in a Symbiotic Mutualism
Kerry M. Oliver, Patrick H. Degnan, Martha S. Hunter, and Nancy A. Moran
Science 325, 5943, 992-994, 21 August 2009, DOI: 10.1126/science.1174463
→バクテリオファージ(ウイルス)は、相利共生において防御に必要な因子をコードしている。アブラムシに共生する細菌は、寄生蜂を殺す毒性因子をウイルスから付与される。化学合成共生系では、ウイルスは何か役割を果たしているのだろうか?
【最新論文(Nature, Science)】
☆Proceedings of the National Academy of Sciences☆
Osmotrophy in modular Ediacara organisms
Marc Laflamme, Shuhai Xiao, and Michal Kowalewski
PNAS 2009 106:14438-14443; doi:10.1073/pnas.0904836106
→エディアカラ生物群は、溶存有機物の取り込みで栄養を得ていた(osmotrophy)らしい。化石の形状の詳細な解析・理論計算から推察された。エディアカラ紀の海は溶存有機物に富んでいた? ちなみに現在の動物は、サンゴや海綿が補助的に溶存有機物吸収を行うのみ。
【先カンブリア紀2】
Ultrafast growth of wadsleyite in shock-produced melts and its implications for early solar system impact processes
Oliver Tschauner, Paul D. Asimow, Natalya Kostandova, Thomas J. Ahrens, Chi Ma, Stanislas Sinogeikin, Zhenxian Liu, Sirine Fakra, and Nobumichi Tamura
PNAS 2009 106:13691-13695; doi:10.1073/pnas.0905751106
→隕石衝突実験で、高圧相のwadsleyiteが1マイクロ秒未満で形成された。この鉱物は従来、初期地球形成時期に半径1-5kmの隕石が衝突してできたとされてきたが、半径1-5mの隕石で作れるらしい。隕石中衝撃変成鉱物の解釈は、再検討が必要らしい。解釈が1000倍も変わるってすごいな。。。
【最新論文(地球科学系)】
Geological sulfur isotopes indicate elevated OCS in the Archean atmosphere, solving faint young sun paradox
Yuichiro Ueno, Matthew S. Johnson, Sebastian O. Danielache, Carsten Eskebjerg, Antra Pandey, and Naohiro Yoshida
PNAS published online before print August 17, 2009, doi:10.1073/pnas.0903518106
→硫黄MIFの地質記録を、実験で決めたSO2の光解離同位体分別と比較すると、OCSがppmオーダーで含まれる還元的大気が太古代に存在したことが示された。OCSの温室効果で「暗い太陽のパラドックス」も解決できるらしい。さすがは世界の上野雄一朗さん。
【先カンブリア紀2】
☆Geophysical Research Letters☆
Taking the pulse of the Sun during the Holocene by joint analysis of 14C and 10Be
Knudsen, M. F., P. Riisager, B. H. Jacobsen, R. Muscheler, I. Snowball, and M.-S. Seidenkrantz
Geophys. Res. Lett., 36, L16701, doi:10.1029/2009GL039439.
→過去11700年間の太陽活動変動を、地磁気モデル・14Cデータ(IntCal04)・10Beデータ(GRIPアイスコア)を組み合わせて復元。6000-4500yr BCと3000-2000 yr BCに、特に太陽周期が卓越。~220年、~400年の周期は、気候にも見られるらしい。
【太陽と気候2】
☆Earth and Planetary Science Letters☆
Geologic history of Mars
Carr, M.H., Head, J.W.
Earth and Planetary Science Letters, Available online 21 August 2009, doi:10.1016/j.epsl.2009.06.042
→火星の地質史のレビュー。
【最新論文(地球科学系)】
Iron-oxidizing microbial ecosystems thrived in late Paleoproterozoic redox-stratified oceans
Noah Planavsky, Olivier Rouxel, Andrey Bekker, Russell Shapiro, Phil Fralick and Andrew Knudsen
Earth and Planetary Science Letters, Available online 5 August 2009.
→1.89Gaのストロマトライトの鉄同位体組成や希土類元素組成から、鉄酸化細菌がこの時代の一次生産者として重要だったことが示された。
【先カンブリア紀2】
☆Geochimica et Cosmochimica Acta☆
Fractionation of oxygen and hydrogen isotopes in evaporating water
Boaz Luz, Eugeni Barkan, Ruth Yam, Aldo Shemesh
Geochimica et Cosmochimica Acta, Article in Press, Accepted Manuscript, doi: 10.1016/j.gca.2009.08.008
→水の蒸発に伴う動的同位体効果を、実験で定量。「単純なガス拡散の動的理論による予測とは異なる」という説を支持。また、水素の動的同位体効果は低温ほど大きいことが分かり、氷床コアのD-excessに大きな影響を与えるらしい(気温効果による振幅が氷期間氷期サイクルの振幅と同じくらい)。
【最新論文(地球科学系)】
Enzymatic microbial Mn(II) oxidation and Mn biooxide production in the Guaymas Basin deep-sea hydrothermal plume
Gregory J. Dick, Brian G. Clement, Samuel M. Webb, F. Joel Fodrie, John R. Bargar and Bradley M. Tebo
Geochimica et Cosmochimica Acta, Article in Press, Accepted Manuscript, doi:10.1016/j.gca.2009.07.039.
→Guaymas Basin熱水プリュームでのマンガンの状態(酸化還元状態や鉱物結晶構造)を調べて、微生物による急速なマンガン酸化が起きていることが分かった。
【最新論文(地球科学系)】
Why the atmosphere became oxygenated: A proposal
Heinrich D. Holland
Geochimica et Cosmochimica Acta, 73(18), 5241-5255
→大気が地球史を通じて酸化されてきた大部分は、光合成の効果よりも、火山ガスのCO2/H2O比とSO2/H2O比が時代とともに増大したことが原因というモデルの提唱。
【先カンブリア紀2】
☆Chemical Geology☆
Climatic significance of tree-ring δ18O in the Qilian Mountains, northwestern China and its relationship to atmospheric circulation patterns
Xiaohong Liu, Xuemei Shao, Eryuan Liang, Tuo Chen, Dahe Qin, Wenling An, Guobao Xu, Weizhen Sun and Yu Wang
Chemical Geology, Article in Press, Accepted Manuscript, Available online 19 August 2009, doi:10.1016/j.chemgeo.2009.08.005
→北西中国のQilian山脈の樹木年輪d18Oを、AD1870-2006分析し、気候データと比較。気温と正の相関。気候のレジームシフトでd18O大きく変化?
【樹木年輪同位体】
☆Organic Geochemistry☆
The occurrence of short chain n-alkanes with an even over odd predominance in higher plants and soils
Thomas K. Kuhn, Evelyn S. Krull, Amy Bowater, Kliti Grice, Gerd Gleixner
Organic Geochemistry, Article in Press, Accepted Manuscript, Available online 15 August 2009, doi:10.1016/j.orggeochem.2009.08.003
→土壌中に含まれる、奇数優位の短鎖n-アルカンは、主に高等植物から由来し、山火事で長鎖から生じたものが少し含まれるらしい。中部オーストラリアでの研究。
【最新論文(地球科学系)】
Fate of microbial biomass-derived amino acids in soil and their contribution to soil organic matter
Anja Miltner, Reimo Kindler, Heike Knicker, Hans-Hermann Richnow, Matthias KästnerOrganic Geochemistry, 40, 9, 978-985 (September 2009)
→土壌中に含まれる、微生物由来アミノ酸の行方を、224日間の13Cラベル実験で調べた。
【陸域生元素循環1】
☆Analytical Chemistry☆
Exploring Amino Acid Side Chain Decomposition Using Enzymatic Digestion and HPLC-MS: Combined Lysine Transformations in Chlorinated Waters
Spencer S. Walse, Michael J. Plewa and William A. MitchAnal. Chem., Article ASAP, DOI: 10.1021/ac901064u, Publication Date (Web): August 19, 2009
【最新論文(化学系)】
☆Biogeosciences☆
Historical records of coastal eutrophication-induced hypoxia
Gooday, A. J., Jorissen, F., Levin, L. A., Middelburg, J. J., Naqvi, S. W. A., Rabalais, N. N., Scranton, M., and Zhang, J.Biogeosciences, 6, 1707-1745, 2009.
→富栄養化による沿岸海域における貧酸素水塊の発生の変遷を、堆積物から読み解く研究のレビュー。貧酸素に特異的なプロキシ(MoやReなどの微量元素、イソレニエラテンなどのバイオマーカー)を、複数組み合わせて復元するのが良いらしい。
【気候と生元素循環1】
Growth phase dependent hydrogen isotopic fractionation in alkenone-producing haptophytes
M. D. Wolhowe, F. G. Prahl, I. Probert and M. Maldonado
Biogeosciences, 6, 1681-1694, 2009
→アルケノンの水素同位体組成が塩分のプロキシになるという話があるが、培養実験をすると、むしろアルケノン古水温計の補正に使えそうらしい。
【最新論文(地球科学系)】
☆Geobiology☆
Constraining carbon sources and growth rates of freshwater microbialites in Pavilion Lake using 14C analysis
A. L. BRADY, G. SLATER, B. LAVAL AND D. S. LIM
Geobiology , Published Online: 21 Aug 2009, DOI: 10.1111/j.1472-4669.2009.00215.x
→湖のマイクロバイアライトの放射性炭素、安定炭素同位体の分析から、元となるDICがどこから来たかを推察。地下水由来が9-13%らしい。成長速度は、過去千年間においては年0.05mmとか。
【最新論文(地球科学系)】
☆Trends in Ecology and Evolution☆
Ecological theory and continental margins: where shallow meets deep
Lisa A. Levin and Paul K. Dayton
Trends in Ecology and Evolution, doi:10.1016/j.tree.2009.04.012, Article in Press, Corrected Proof.
→大陸棚生態系のレビュー。
【最新論文(生物系)】
☆Environmental Microbiology☆
Culturable prokaryotic diversity of deep, gas hydrate sediments: first use of a continuous high-pressure, anaerobic, enrichment and isolation system for subseafloor sediments (DeepIsoBUG)
R. John Parkes, Gerard Sellek, Gordon Webster, Derek Martin, Erik Anders, Andrew J. Weightman and Henrik Sass
Environmental Microbiology, Published Online: 19 Aug 2009.
→高圧・嫌気条件を保ったまま海底下から堆積物サンプルを採取して、微生物を培養分離するシステム「DeepIsoBUG」の開発と、カスカディアでの応用。
【地下生物圏1】
Oxygen and the light–dark cycle of nitrogenase activity in two unicellular cyanobacteria
Justine Compaoré and Lucas J. Stal
Environmental Microbiology, Published Online: 19 Aug 2009, 10.1111/j.1462-2920.2009.02034.x
→単細胞シアノバクテリアのニトロゲナーゼ(窒素固定の酵素)活性が、酸素濃度や光、温度の変動にどう応答するか実験。
【最新論文(生物系)】
登録:
投稿 (Atom)