記録のために、Twitterから抽出してまとめておきます。単行本は94冊(上下巻などはまとめて1冊としてカウント)。内訳は、小説が60冊、科学関連書が32冊、その他が2冊。去年よりは冊数増えたけれど、年間100冊はまだ達成できず。
小説と科学関連書でそれぞれ個人的Best 5を選ぶと(2012年に出版された本ではなく、山口が2012年に読んだ本の中で)
[小説]
1, 『最後にして最初の人類』(オラフ・ステープルドン 著)
2, 『かめくん』(北野勇作 著)
3, 『ブラッド・ミュージック』(グレッグ・ベア 著)
4, 『竜の卵』(ロバート・L・フォワード 著)
5, 『海を見る人』(小林泰三 著)
[科学書]
1, 『科学革命とは何か』(都城秋穂 著)
2, 『科学と仮説』(ポアンカレ 著)
3, 『数学をつくった人びと』(E・T・ベル 著:I-III巻)
4, 『「知」の欺瞞 ポストモダン思想における科学の濫用』(アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン
著)
5, 『恐竜はなぜ鳥に進化したのか 絶滅も進化も酸素濃度が決めた』(ピーター・D・ウォード 著)
あたり。一言感想やリンクはそれぞれ下記に。
[1月](8冊)
『物理学と神』(池内了 著)を読了。もっと科学vs宗教的な内容を期待していたら、わりと物理学史入門な感じだった。次はドーキンスの『神は妄想である』とか読んでみるかなぁ。 http://t.co/8cKyxqcJ
『ねじまき少女』(パオロ・バチガルピ
著;上下巻)を読了。期待通り面白い。石油枯渇&地球温暖化後で遺伝子改変生物が氾濫している世界。「エコSF」らしい。舞台が熱帯ということもあって、けっこう湿度が高い話。 http://t.co/29YT4uUb
『言壺』(神林長平 著)を読了。第16回日本SF大賞受賞な言語SF連作集。「綺文」のラストに一気に押し寄せる言語空間崩壊感にめまいがした。「戯文」のラストの現実崩壊感も面白い。 http://t.co/SYFKvrAa
『ウェットウェア
単細胞は生きたコンピューターである』(デニス・ブレイ
著)を読了。タンパク質や遺伝子、細胞などのネットワークによって「計算」が行われているという、主にシステム生物学な解説書。 http://t.co/NVgz4lcr
『海に降る』(朱野帰子 著)を読了。これはアツい! 絶対に〈しんかい6500〉に乗って深海に行ってやるという2人の話。海洋学関係者/深海好きの皆さんはとりあえず読みましょう。 http://t.co/tuPI8fqm
『竜の卵』(ロバート・L・フォワード 著)を読了。中性子星の知的生命! 40万Gなら大腸菌でも生きられるらしいけど、ここでは670億G。すごい想像力。本職は理論物理学者で「小説の形を借りて中性子星の物理学の教科書として書いた」らしい。 http://t.co/negzjNWS
『イカの心を探る
知の世界に生きる海の霊長類』(池田譲 著)を読了。イカすごいな。社会構造、鏡像自己認識能力、学習能力などなど。でも一番驚いたのは「脳の中央部分を食道が貫いている」こと。 http://t.co/2yg7OaeI
『カオスの紡ぐ夢の中で』(金子邦彦 著)を読了。東大駒場の複雑系の人。科学エッセイ+小説な不思議な本。人工知能による物語の進化を描く「小説
進物史観」がけっこう面白い。円城塔による解説も面白いw http://t.co/jieNoSVm
[2月](7冊)
『恐竜はなぜ鳥に進化したのか
絶滅も進化も酸素濃度が決めた』(ピーター・D・ウォード 著)を読了。顕生代の生物進化と酸素濃度の比較と仮説。色々と勉強になった。GEOCARBSULFの結果ってどのくらい確からしいんだろうな。 http://t.co/BWnG6ki9
『人間そっくり』(安部公房 著)を読了。たぶんSF。延々続く会話と屁理屈による現実崩壊感が面白い。実際、自分は地球人だと信じている、地球人そっくりな火星人がいたとして、地球人とどう区別できるんだろうな。 http://t.co/lrlnpCEP
『リリエンタールの末裔』(上田早夕里 著)を読了。人間の脳に直結させて操縦する海洋無人探査機(for 沖縄トラフ熱水域の海底下生命圏探査!)の話が面白い。ぬるっとか生ぬるいとか触覚を深海で感じている。そのうち実現しないかな。 http://t.co/9kGXLXuQ
『Boy's Surface』(円城塔 著)を読了。数理的恋愛小説集、らしい。わけわからんwというのが感想なのだけど、心を無にして読んでみるとけっこうすっと入ってくる。 http://t.co/oi8rTP7F
『高い城の男』(フィリップ・K・ディック 著)を読了。第二次世界大戦で日本とドイツが勝利したif世界の中に、さらに「アメリカが勝った世界を描くif小説」が出てくるという二重構造な話。 http://t.co/BvFjCaiE
『ブラッド・ミュージック』(グレッグ・ベア
著)を読了。化学シグナルを介した情報処理による“知性ある細胞”によって、人類が進化する話。名作。四半世紀前にこれを書けるとは。。。 もっと早く読んでおくべきだった。 http://t.co/pY02LhWX
『第六ポンプ』(パオロ・バチガルピ
著)を読了。けっこう多用な趣向の短篇集だけど、やっぱり表題作の衝撃度が一番かな。化学物質汚染によって出生率と知能の低下が進んで、ゆっくりと崩壊していく近未来の人類。 http://t.co/UrKE6t99
[3月](11冊)
『黄金比はすべてを美しくするか? 最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語』(マリオ・リヴィオ
著)を読了。黄金比の数学史。芸術・建築に黄金比出てくる説は、多くを「こじつけ」と否定。9章の「神は数学者なのか?」が深くて面白い。 http://t.co/24Ws1bCy
『きつねのつき』(北野勇作 著)を読了。反応暴走による肉の津波に呑み込まれた町。グロく変質してしまった、事故後の世界。けっこう衝撃的かつ不思議な雰囲気の話。家族持ちだとまた読後感は違うのかもしれない。 http://t.co/aS9qTvF6
『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』(コニー・ウィリス
著、上下巻)を読了。ミステリでドタバタな時間旅行SF。イギリスの情景のイメージと英語の言葉遊びの理解に難儀した。 http://t.co/zHB1e3we
『闇の左手』(アーシュラ・K・ル・グウィン 著)を読了。最初はファンタジーぽくて微妙かなあと思ってたけど、実際はじわじわ染み入る名作だった。文化人類学的? 氷雪の中の旅の情景が圧巻。 http://t.co/Wq7GrfrZ
『フラッシュフォワード』(ロバート・J・ソウヤー
著)を読了。CERNのLHCの実験の影響で、全世界の人類が21年後を2分間だけ見てしまった話。伏線を回収しつつ、最後は無限大に発散していった。TVドラマもあるのか。 http://t.co/72LHASvp
『ポアンカレ予想
世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者』(ジョージ・G・スピロ 著)を読了。トポロジーの話は理解できたとは正直言えないけど、数学者たちの人間模様が面白い。 http://t.co/6Tx58dGG
『科学革命とは何か』(都城秋穂 著)を読了。地質学史+科学哲学。「科学革命=パラダイムシフト」は必ずしも成り立たないことを、丁寧に解説していく。ここで示されている考え方の枠組みを、自分の周りの分野に適用してみると面白そう。 http://t.co/tzE6tsgE
『科学革命の構造』(トーマス・クーン
著)を読了。「パラダイムシフトによる科学の進展」を提唱した有名な著作。今読んでも面白いので、50年前のインパクトたるや。しかしやはり「パラダイム」の定義が難しい。何年か後にまた読んでみよう。 http://t.co/VxriALQi
『科学論入門』(佐々木力 著)を読了。科学史的なところは勉強になるのだけど、1995年とかの時事ネタはさすがにやや古さを感じてしまう。 http://t.co/H2k7ZE7N
『南極点のピアピア動画』(野尻抱介 著)を読了。3作目「歌う潜水艦とピアピア動画」は、JAMSTECや産総研のボーカロイドオタクな研究者たちが活躍する話w ネット文化と科学技術の未来は意外とこんなノリなのかもしれない。 http://t.co/HpqJwg9k
『ラブ・ケミストリー』(喜多喜久 著)を読了。東大農学部が舞台の有機化学ラブコメ(?)。東大理系男子はニヤニヤしながら読めることうけあい。 http://t.co/311n33m2
[4月](3冊)
『ディファレンス・エンジン』(ウィリアム・ギブスン、ブルース・スターリング
著;上下巻)を読了。1855年のロンドンが舞台のサイバーパンクなスチームパンク。半分くらい古生物学者が主人公で、なぜか福沢諭吉や森有礼も出てくる。 http://t.co/5hhaalDv
『青い星まで飛んでいけ』(小川一水 著)を読了。ちょっと軽めの文体が苦手なのだけど、『幼年期の終わり』などをネタにした表題作はけっこう好き。 http://t.co/kaIRvsj7
『アジャストメント』(フィリップ・K・ディック 著)を読了。現実崩壊感と偽物感にあふれた短篇集。「にせもの」「おお! フローベルとなりて」「電気蟻」あたりが面白い。 http://t.co/BzBWPUdY
[5月](5冊)
『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド
著、上下巻)を読了。評判通り面白い。進化生物学や生物地理学など、意外とハードサイエンスな内容が多くて良かった。決め手は、大陸の場所と形と大きさらしい。 http://t.co/XIVyCjKp
『目に見えないもの』(湯川秀樹 著)を読了。科学エッセイ集。第三部の「真実」「未来」は、どちらも1-2ページの短い文章だけれど、心にしみた。「現実のほかにどこに真実があるかと問うことなかれ。真実はやがて現実となるのである」 http://t.co/NWua7lNm
『雪』(中谷宇吉郎 著)を読了。雪の結晶の生成条件を解明するまでの、研究の過程・試行錯誤・思考を追体験できるのが面白い。70年以上経っても古さをあまり感じさせない。 http://t.co/vvqi6SRV
『最後にして最初の人類』(オラフ・ステープルドン
著)を読了。20億年分(!)の人類の未来史が、淡々と冷徹に、地球史や古生物学の学術書のように記述される。読後には、諸行無常感と感動で呆然とせざるをえない。これはすごい。 http://t.co/oFpebKBl
『未来のプロフィル』(アーサー・C・クラーク 著)を読了。1958年に書かれた、科学技術の未来予測。情報通信系は既にかなり達成されているけど、移動手段系は本質的には全然進歩してないなぁという印象。 http://t.co/FMfnmrQH
[6月](11冊)
『ヒトの進化 七〇〇万年史』(河合信和 著)を読了。ここ数年でも革命的発見が続出している、古人類学の論争についての解説。おおまかな全体像が把握できて、勉強になった。やはり年代測定が重要だなという印象。 http://t.co/DkiHVpNF
『疑似科学と科学の哲学』(伊勢田哲治 著)を読了。疑似科学との対比から、「科学の本質」をあぶりだそうという本。まだ消化しきれてない部分もあるけど、勉強になった。特に第5章のベイズ統計と科学論の話に、なるほどなぁと感心。 http://t.co/gXyXbxKT
『天狼新星 SIRIUS:Hypernova』(花田智 著)を読了。産総研の微生物の人。量子通信あり電脳バトルあり超新星爆発ありの本格派サイバーパンクSFだった。すごいなぁ。そしてちょうど読んだ後に今日の宇宙線論文出てきたから驚いた。 http://t.co/AGht9oJD
『天の科学史』(中山茂 著)を読了。がっつり科学史というよりは、一般教養的な話がメインだった。 http://t.co/g8jPlUF5
『辺境生物探訪記
生命の本質を求めて』(長沼毅、藤崎慎吾
著)を読了。極限環境微生物の研究者と、『ハイドゥナン』など海洋SFメインの作家の、極地研、温泉、地下深部研究所など極限環境的な8カ所での対談。こういう形式も面白い。 http://bit.ly/Lx1o6h
『黒いカーニバル』(レイ・ブラッドベリ
著)を読了。1週間前に他界した大作家の短篇集。「黒い観覧車」「ほほえむ人びと」「児童公園」あたりがじわじわと怖い。合掌。 http://t.co/k3zlsktG
『不思議のひと触れ』(シオドア・スタージョン
著)を読了。「雷と薔薇」「孤独の円盤」あたりも好きだけど、「もう一人のシーリア」の異常性が一番。なんとなく『寄生獣』につながるものを感じる。
http://t.co/g1Bj209b
『マインド・イーター
[完全版]』(水見稜 著)を読了。「日本SFが成し遂げた最高の達成」らしい。小天体の姿をした非生命体との闘い。D-アミノ酸出てきてテンション上がった。生命の本質と非対称性の議論がなかなか面白い。 http://t.co/p41PSF9Q
『日本沈没』(小松左京 著、上下巻)を今更ながら読了。やはり映画より原作の方がが良いね。40年も経つけど、地震・津波の描写のリアリティはむしろすごい。沈没することを政府が発表した後の、人々や諸外国の反応の考察も興味深い。 http://t.co/LJm6lfjL
『スターメイカー』(オラフ・ステープルドン
著)を読了。惑星系→銀河系→宇宙→→…と、話の時空間スケールが階層的にどんどん大きくなっていくのに唖然。想像力のぶっとび方がすごい。やや宗教的なのが少し気に入らないけど。 http://t.co/wRMsuqvf
『日本沈没 第二部』(小松左京+谷甲州 著;上下巻)を読了。日本が沈没して日本人が世界各地に離散してから25年後、第二部のメインは気候変動。氷期とか軌道要素とか火山エアロゾルとか地球シミュレータとか、専門的になじみ深い話が満載。
http://t.co/L5lCGNt6
[7月](11冊)
『21世紀SF1000』(大森望 著)を読了。2001-2010年に出版されたSF1000冊のブックガイド。気になる本はたくさんあるけれど、部屋に積み上がる積ん読タワーが増えるだけなので、しばらく我慢。。。 http://t.co/5FVoPR4x
『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(R.P.ファインマン 著;上下巻)を(再?)読了。くすりと面白い科学エッセイ集。最後の「カーゴ・カルト・サイエンス」(カルテクでの卒業式式辞)は特に心にしみる。自分自身を欺かぬ心構え。 http://t.co/qODtboiN
『刺青の男』(レイ・ブラッドベリ
著)を読了。刺青に描かれた短編×18。「草原」「ゼロ・アワー」の子どもたちが怖い。「町」「万華鏡」の儚さも良い。未来を描いているのに郷愁感あふれるのは、やはりブラッドベリ。 http://t.co/U6q30Ekq
『海を見る人』(小林泰三 著)を読了。地面と空が逆転していたり、場所によって時間の進み方が何十倍も違ったりと、構造が違う世界の話。けれど我々の世界の物理学で説明&計算可能で、ファンタジーでなくちゃんとハードSFになっている。これは名作。 http://t.co/mJwl8YfY
『感性の限界 不合理性・不自由性・不条理性』(高橋昌一郎 著)を読了。限界シリーズ第3弾。愛と自由と死の科学について。対話形式でさくっと読める。文中で紹介されていた、バナールの『宇宙・肉体・悪魔』が気になってきた。 http://t.co/zzJo0NlA
『太陽の簒奪者』(野尻抱介 著)を読了。水星の中身が突然に噴出して太陽を取り巻く巨大リングが形成され、何だこりゃ人類やばしな話。リングの目的が、作中ではわりと天下り式に分かってしまうので、もっと科学者サイドの努力が描かれてもよかったかも。 http://t.co/p25ZLAeH
『象られた力』(飛浩隆 著)を読了。表題作後半での、破壊の描写の洪水がすごい。「夜と泥の」も良い。 http://t.co/9uNmai1n
『地球科学の歴史と現状』(都城秋穂 著)を読了。地球科学(主に地質学)の科学史・科学哲学から、高校の地学教育まで。50年近く前に書かれたものとは信じられないほど、現在でも心に響く鋭い指摘が多い。 http://t.co/rdanFE8Q
『「知」の欺瞞 ポストモダン思想における科学の濫用』(アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン
著)を読了。実例で出てくる、(擬似)自然科学・数学用語を散りばめたラカンやドゥルーズらの文章の酷さに唖然。むしろ一周して面白い。 http://t.co/de0c8k54
『叛逆としての科学 本を語り、文化を読む22章』(フリーマン・ダイソン
著)を読了。物理学の巨人による書評・エッセイ集。オッペンハイマーとかゴールドとか科学者たちの逸話が面白い。 http://t.co/daP1LVoV
『レッド・プラネット』(R・A・ハインライン 著)を読了。火星が舞台のジュヴナイルの名作。火星人をなぜかスラィリーの姿でイメージしてしまった…。そういえば「キュリオシティ」の火星到着ももうすぐですね。 http://t.co/Vkk6JSkK
[8月](14冊)
『E=mc2 世界一有名な方程式の「伝記」』(デイヴィッド・ボダニス
著)を読了。少し変った形式の科学ノンフィクション。核分裂の発見にまつわる、リーゼ・マイトナーのエピソードが印象的。 http://t.co/uqi85hEX
『ゼロ年代の想像力』(宇野常寛 著)を読了。ゼロ年代の(サブ)カルチャー批評。エヴァやセカイ系を「1995年時点の古い想像力」とし、それらを越えていくゼロ年代作品群の展開を論じる。高橋留美子論と仮面ライダー論がおもろい。 http://t.co/r7g6yfNa
『かめくん』(北野勇作 著)を読了。木星戦争のために作られたぽい二足歩行模造亀(レプリカメ)の「かめくん」の大阪下町(?)での日常生活と非日常。独特の哀愁感と虚構感が味わい深い。 http://t.co/iHx9RHFe
『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵
編)を読了。震災、はやぶさ、小松左京訃報の関連作品が多かった2011年だけど、特に面白かったのは、伴名錬「美亜羽へ贈る拳銃」、石持浅海「黒い方程式」。 http://t.co/6HQuOSmt
『不完全性定理』(ゲーデル 著)を読了。原論文の翻訳と、ヒルベルト計画など数学史に重点を置いた解説。証明の数学的な部分はさっぱり分からないままだけど、定理のエッセンスと歴史的な位置づけが理解できた。イメージとけっこう違った。 http://t.co/k4VjmVuR
『ふわふわの泉』(野尻抱介 著)を読了。ダイヤモンドより硬く空気より軽い新物質「ふわふわ」の合成に成功した女子高生が世界を変えちゃう話。クラークの『楽園の泉』のオマージュ。文章も軽めな楽観的未来。 http://t.co/pXcHrmtZ
『科学と仮説』(ポアンカレ 著)を読了。「今もなお万人の愛読にあたいする科学の古典」という売り文句にも納得の味わい深さ。原著出版は1902年だけど、「あーなるほどそういうことかぁ」と感心する箇所多数。何度もじっくりと読みたい。 http://t.co/jkgflvor
『どろんころんど』(北野勇作 著)を読了。人類不在の世界での、アンドロイドとカメ型ロボットによる、”泥の国のアリス”的な話。いいなぁ。やはり北野勇作は、偽物な世界での日常の描写が絶品。 http://t.co/xVeV8ZBN
『サマー/タイム/トラベラー』(新城カズマ 著:1-2巻)を読了。夏休みの片道切符の時間旅行。面白かった。「人が時間旅行を夢想し希求する理由は『二度目の機会』」と作中で述べられつつ、「二度目の機会」は与えられず、人生前進あるのみ。 http://t.co/4OiET18A
『盗まれた街』(ジャック・フィニイ
著)を読了。銃声も1発くらいしか響かない、静かな侵略SF。そのぶんかなり怖い。家に地下室とかあったら(ないけど)、行けなくなる。 http://t.co/NJF7QhYr
『時間SF傑作選 ここがウィネトカなら、きみはジュディ』(大森望 著)を読了。世界終末時間旅行ツアーな「世界の終わりを見にいったとき」、時間ループで同じ1日が700万年間(!)くりかえす「しばし天の祝福より遠ざかり……」などが印象的。 http://t.co/zWELc4RF
『さあ、気ちがいになりなさい』(フレドリック・ブラウン
著)を読了。表題作、「沈黙と叫び」、「みどりの星へ」あたりが面白い。けっこうデジャヴがあったので、子どものころに旧版を読んだっぽい。よく覚えている箇所は当時も印象的だったんだろうな。 http://t.co/f5iWzuAb
『宇宙開発SF傑作選 ワイオミング生まれの宇宙飛行士』(中村融 編)を読了。「主任設計者」「サターン時代」などの宇宙開発改変歴史ものが印象的。そして、読み終わったらアームストロング宇宙飛行士の訃報が飛び込んできた…。合掌。 http://t.co/WODiKDtQ
『ポストヒューマンSF傑作選 スティーヴ・フィーヴァー』(山岸真 編)を読了。テーマは「未来の人類」。機械化、デジタル化、群体化、etc。「有意水準の石」「見せかけの生命」「ローグファーム」あたりが面白い。 http://t.co/GFntbR5y
[9月](4冊)
『屍者の帝国』(伊藤計劃×円城塔
著)を読了。ゾンビが工業製品として普及した19世紀の大英帝国などが舞台のスチームパンク。伊藤計劃の遺稿を円城塔が引き継いで完成。「我思う故に我あり」って言うけど本当か?的な話だと思う。終盤の展開が怒涛。 http://t.co/4cj6TXmC
『すばらしい新世界』(オルダス・ハックスリー
著)を読了。1932年発表のユートピア小説。体外での受精&胎児生育の技術により「親子」「家庭」の概念が消え、きっちり階級と仕事が定められ、無副作用の麻薬も普及し、ほとんどの人が幸福な安定社会。 http://t.co/CY8T2JnT
『ウは宇宙船のウ』(レイ・ブラッドベリ
著)を読了。原題は”R IS FOR ROCKET”。どこかの惑星で寿命が8日間だけになってしまった人類の話の「霜と炎」が傑作。表題作も好き。他の短篇集等で既読だけど「霧笛」ももちろん名作。 http://t.co/juCg4dso
『スは宇宙のス』(レイ・ブラッドベリ
著)を読了。原題は"S IS FOR SPACE"。「さなぎ」「火の柱」「ぼくの地下室へおいで」あたりが、そこはかとなく怖い。 http://t.co/ANAVBobc
[10月](8冊)
『時間の種』(ジョン・ウィンダム
著)を読了。破滅SFで有名なウィンダムだけど、この短篇集はわりと普通のSF。「ポーリーののぞき穴」「頭の悪い火星人」あたりが面白い。 http://t.co/8bmBRjpf
『心を生み出す遺伝子』(ゲアリー・マーカス
著)を読了。脳の分子生物学。"人々が遺伝学に対して抱く第二の大きな誤解は、いつの日か、生まれと育ちのどちらかが「より重要か」について決着がつくだろうと思っていることである。"という話。 http://t.co/BQe5taG3
『世界で一番詳しいウナギの話』(塚本勝巳 著)を読了。ニホンウナギ産卵場発見物語。面白い。というか楽しそう。初っ端から「うぁあ、きた、きた、きたぁ~! これは間違いなく来たよォ~!」
から始まるというね。 http://t.co/iTgrq6Zw
『隕石コレクター 鉱物学、岩石学、天文学が解き明かす「宇宙からの石」』(リチャード・ノートン
著)を読了。原題は"Rocks From Space"。前半が隕石ハンターの話、後半が隕石学入門。学部時代に買ったのをようやく読んだ。 http://t.co/zQKn13VV
『どーなつ』(北野勇作 著)を読了。郷愁感と哀愁感と偽物感が、他の作品同様に良い。その意味では「その七 異星人に会社を乗っ取られた社長の話」が一番好き。 http://t.co/ugF1mFGC
『蠅』(ジョルジュ・ランジュラン
著)を読了。表題作が“20世紀に書かれた最も恐ろしい作品”と名高いけど(『蝿男の恐怖』と題して映画化もされている)、むしろ「彼方のどこにもいない女」と「他人の手」の方が怖い。
http://t.co/wH8BsG2J
『レベル3』(ジャック・フィニイ
著)を読了。過去への郷愁、時間の跳躍、現実からの逃避あたりがモチーフ。特に表題作や「失踪人名簿」が印象的。フィニイ好きな人が多いのも理解できる。
http://t.co/UczgRE8f
『数学をつくった人びと』(E・T・ベル 著:I-III巻)を読了。数学史の名作古典。古代ギリシャのツェノン、アルキメデスから、19世紀末のポアンカレ、カントールまで、200人以上が登場。業績だけでなく人生にもかなりページが割かれ、面白い。
http://t.co/7dss37C5
[11月](5冊)
『プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する』(チャールズ・モア、カッサンドラ・フィリップス
著)を読了。海洋に蓄積していくプラスチックごみ。重量がプランクトンの6倍あるとかやばいな。 http://t.co/HwdAB5ZA
『後藤さんのこと』(円城塔 著)を読了。いつもながらわけがわからない感じでぶっ飛んでいる。後藤さんが、粒子だったり波動だったり、56億光年先の天体だったり、バージェス頁岩中に見つかったりする表題作。 http://t.co/8qGGEYO2
『天獄と地国』(小林泰三 著)を読了。重力的に上方向に地面があって、下に宇宙が広がっている世界で、「ちゃんと下方向に地面がある世界」を探す話。設定は好きなのだけど、長編になってバトル色が強くなっているので、短編の方が好きかな。 http://t.co/FWHOBhjQ
『史上最大の発明アルゴリズム 現代社会を造りあげた根本原理』(デイヴィッド・バーリンスキ
著)を読了。1930年代のゲーデル、チャーチ、チューリング、ポストらによる数学的・論理学的な概念発明までが主。文章構成が文学的で独特。 http://t.co/ieLmvozg
『トータル・リコール』(フィリップ・K・ディック
著)を読了。表題作のほか、ミュータント人類ばかりになった地球でオリジナル人類を探す話「訪問者」と、静かな侵略もの「吊されたよそ者」が面白い。偽物vs本物というディックのお馴染みのテーマ。 http://t.co/Cenz7T0Z
[12月](7冊)
『去年はいい年になるだろう』(山本弘 著:上下巻)を読了。24世紀から2001年にやって来たアンドロイドたちによる歴史改変で、同時多発テロも大地震による被害も無くなって”平和”になった世界。主人公は著者自身というのが独特で面白い。
http://t.co/cYY0bmLh
『10月はたそがれの国』(レイ・ブラッドベリ
著)を読了。初期の頃の短篇集。「つぎの番」「骨」「壜」「小さな殺人者」あたりが怖くて、もはやホラー。
http://t.co/9KIX8ENv
『この空のまもり』(芝村裕吏 著)を読了。「理性的愛国を実践する電脳国防青春SF」らしい。至近未来の日本社会の描像(強化現実技術、少子化、年金制度崩壊、移民、etc)が、いかにもありそうで印象的。
http://t.co/fgqEzHPw
『復活の日』(小松左京 著)を読了。ウイルス生物兵器の蔓延で人類の大半が滅亡するも、南極基地に1万人が生き残り、人類再生を模索する名作。最近『Virus』として英訳されたらしい。
http://t.co/DCCd5awe
『九百人のお祖母さん』(R・A・ラファティ 著)を読了。"狂人"ラファティの、独特でユーモラスで味わい深い短篇集。時の加速を扱った「時の六本指」「スロー・チューズデー・ナイト」、惑星べロータの熊もどきの話「スナッフルズ」などが印象的。
http://t.co/xCuoW8Vs
『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦 著)を読了。京都が舞台でもなく大学生が主人公でもなく、でもいつもの独特なひとり語りは健在に、郊外の街の小学四年生の話。不思議な現象に対してきちんと科学しているさまが面白い。
http://t.co/vvOFK6xp
『盤上の夜』(宮内悠介 著)を読了。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋と、盤上遊戯をめぐる不思議な話。ノンフィクション風の語り口に、現実と虚構の境界が曖昧になるのが面白い。今年中に読めてよかった。
http://t.co/Ur8NPArc