2009年8月31日月曜日

古い論文(090824-090830)

今週はHarvard大学のAnn Pearson准教授の論文をメインに。

Quantifying archaeal community autotrophy in the mesopelagic ocean using natural radiocarbonAnitra E. Ingalls, Sunita R. Shah, Roberta L. Hansman, Lihini I. Aluwihare, Guaciara M. Santos, Ellen R. M. Druffel, and Ann Pearson
Proceedings of the National Academy of Sciences (2006) 103:6442-6447; published online April 13, 2006, doi:10.1073/pnas.0510157103
→海洋中深層のアーキアが独立栄養か従属栄養なのかを、海水中のGDGTs(アーキア脂質)の化合物レベル14C濃度から調べた。83%が独立栄養、残りが従属栄養らしい。アンモニア酸化を通じて、アーキアが海洋の炭素・窒素循環に大きな役割を果たしているようだ。しかし、14C濃度だと、独立栄養と「他の微生物が独立栄養で固定した炭素を、従属栄養的に同化」を区別できないと思うが、どうなんだろう…?
【海洋生元素循環2】

The radiocarbon signature of microorganisms in the mesopelagic ocean
Roberta L. Hansman, Sheila Griffin, Jordan T. Watson, Ellen R. M. Druffel, Anitra E. Ingalls, Ann Pearson, and Lihini I. Aluwihare
Proceedings of the National Academy of Sciences (2009) 106:6513-6518; published online April 6, 2009, doi:10.1073/pnas.0810871106
→海洋中深層の微生物の炭素がどこから来ているのかを、DNA(バルク)の14C濃度から調べた。その場での科学合成独立栄養による炭素固定がかなり寄与しており、光合成由来有機物(POCとして表層から沈降)は必ずしも最大の炭素源ではないらしい。また、溶存有機炭素(DOC)はほとんど寄与していないらしい。しかし、DNAを「生きている細胞のバイオマーカー」として使っているが、RNAならともかくDNAはPOCなどに残らないのだろうか…? 堆積物中と海洋中だと違うのかもしれないが。
【海洋生元素循環2】

Phylogenetic and biochemical evidence for sterol synthesis in the bacterium Gemmata obscuriglobus
Ann Pearson, Meytal Budin, and Jochen J. Brocks
Proceedings of the National Academy of Sciences (2003) 100(26) 15352-15357, December 23, doi: 10.1073/pnas.2536559100
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第1弾。ステロールの生合成はほとんど真核生物にのみ見られ、バクテリアは2種が報告されているのみだが、生合成経路はいつ発達したのか? 生合成に最低限必要な酵素squalene monooxygenaseとoxidosqualene cyclaseの遺伝子を、公開されている全微生物のゲノム中から検索した。すると新たに、Gemmata obscuriglobusに見つかった。最も古いタイプの生合成系かも? 遺伝子水平伝播もあったようだ。
【トリテルペノイド1】

Targeted genomic detection of biosynthetic pathways: anaerobic production of hopanoid biomarkers by a common sedimentary microbeW. W. FISCHER, R. E. SUMMONS AND A. PEARSON
Geobiology (2005) 3(1), 33-40, Published Online: 5 Jul 2005, DOI:10.1111/j.1472-4669.2005.00041.x
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第2弾。ホパノイドの生合成には酸素(O2)は不要だが、なぜかこれまで絶対嫌気微生物からは見つかっていない。しかし嫌気的メタン酸化が起きている堆積物中に13Cに乏しいホパノイドが見つかるなど、嫌気環境での生合成が疑われている。そこで、上のPearson et al. (2003, PNAS)で始めた「ゲノム中にバイオマーカー生合成酵素を探索する研究」を、今回はホパノイドで行った。すると、嫌気環境によく見られる微生物3種(Geobacter sulfurreducens, Geobacter metallireducens, Magnetospirillum magnetotacticum)に見つかった。
【トリテルペノイド1】

Novel hopanoid cyclases from the environment
Ann Pearson, Sarah R. Flood Page, Tyler L. Jorgenson, Woodward W. Fischer and Meytal B. Higgins
Environmental Microbiology (2007) 9(9), 2175-2188, Published Online: 5 Jun 2007, DOI:10.1111/j.1462-2920.2007.01331.x
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第3弾。環境中のメタゲノムデータから、ホパノイド生合成酵素(hopanoid cyclases)の遺伝子(sqhC)を探索。環境中には、ホパノイドを生合成できる未発見の種が大量にいることが示唆された。一方で、シアノバクテリア(2-methylbacteriohopanepolyolの主たる生産者と考えられている)には見つからず。堆積岩中の過去のホパノイドを解釈する上で重要な知見。
【トリテルペノイド1】

Distribution of microbial terpenoid lipid cyclases in the global ocean metagenomeAnn Pearson and Douglas B Rusch
The ISME Journal (2009) 3, 352–363; doi:10.1038/ismej.2008.116; published online 27 November 2008
→「バイオマーカーとゲノム」シリーズ第4弾。様々な海域のショットガンメタゲノムデータから、テルペノイド生合成酵素(squalene-hopene cyclases)の遺伝子(SHCs)を探索。主にプロテオバクテリアがコードしており、ホパノイド生産に大きく寄与しているらしい。やはりシアノバクテリアには見つからず。
【トリテルペノイド1】

Are Sunspots Different During This Solar Minimum?W. LIVINGSTON and M. PENN
Eos Trans. AGU (2009) 90(30), 28 July 2009, 257-258
→ゼーマン効果から見積もった太陽磁場が、1992年から現在にかけて3分の2ほどに弱化している。
【太陽と気候2】

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