2009年9月1日火曜日

科学ニュース(090901)

Oceanography: The dark side of marine carbon
Nature Geoscience News & Views, 2, 603 - 604 (1 Sep, 2009)
http://www.nature.com/ngeo/journal/v2/n9/full/ngeo621.html
→海の炭素循環では、表層での光合成による炭素固定が主に着目されて研究されてきたが、中深層で粒子状有機物が代謝されてCO2に戻る「再無機化深度」が重要という話。Nature Geoscienceに論文。

Early biosphere: Magnifying ancient microstructures
Nature Geoscience News & Views, 2, 606 - 607 (1 Sep, 2009)
http://www.nature.com/ngeo/journal/v2/n9/full/ngeo611.html
→ 34億6500万年前のApexチャートの“微化石”の論争について。SEMなどで岩石をよく観察したら、熱水変質が起きていて、“微化石”は怪しいという話。Nature Geoscienceに論文。しかし、この直前にGeologyには、「“微化石”の組成を分析したら生物由来らしい」という論文も出ていた。喧々諤々。

Astronomers Find Coldest, Driest, Calmest Place On Earth
ScienceDaily (Aug. 31, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090831130655.htm
→地上で天体観測望遠鏡を置くのに最適な場所(寒くて、乾燥していて、空気の乱れが少ない場所)を探していたら、南極高原のRidge Aという場所になったらしい。高度4053mで、冬の平均気温は-70℃、湿度はごくわずか、風もほどんどない。従来の3倍シャープな画像が得られ、ハッブルにも匹敵?

Indian Moon Mission "Terminated"
ScienceInsider, August 31, 2009
http://blogs.sciencemag.org/scienceinsider/2009/08/indian-moon-mis.html
→インドの無人月探査機Chandrayaan-1が通信途絶。7万枚の画像を取得するなど一応「成功」らしいが、まだ途中の計画もあったろうので、担当者は悲しいだろうなぁ…。電源システムが落ちるなど、最初からトラブル続きだったらしい。

Old Moon Discovery Helps Unlock Earth Ocean Secrets
ScienceDaily (Aug. 31, 2009)
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090831130145.htm
→ 海底面での圧力の分布を知ることが海洋物理学では重要だが(大気圧を知ることが気象学で大事なように)、重力探知人工衛星Graceをもってしても、なかなか難しかった。そこで、アポロ計画の月面重力探査で用いられたデータ解析技術を転用したら、可能になった。海水準上昇の研究などに役立つらしい。ちなみに日本では、実際に海底面に機器を置いて圧力を計測しているので、人工衛星データと比較できて良いらしい。